「大腿骨近位部骨折術後回復期リハビリテーションにおける二重課題トレーニングの効果」
栗田 泰成,天野 麻美,大城 昌平
総合リハビリテーション(2012),40巻12号,pp1547-1554
本論文は,現在,高齢者骨折の中で問題となっている,大腿骨近位部骨折術後の回復期に焦点をあて,二重課題トレーニングを用いてランダム化比較試験を実施しました。これは,自己の臨床経験も含め,大腿骨近位部骨折の術後リハビリテーションに対する考えや入院中の認知機能も含めた廃用症候群への対策,退院後の再転倒を防止する理学療法の探求より始まりました。結果として,この時期における標準的なリハビリテーションに追加した二重課題トレーニングが,対象者の認知機能の維持・改善に有効であることが示唆されました。今後は,より具体的な負荷設定やその後の転倒に関する効果検証の必要性を感じています。
今回,修士論文の統計解析などを見直し,約1年6ヶ月をかけて論文を受理していただきました。本論文が完成できましたのは,大城昌平教授が惜しみなくご指導くださったおかげであります。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。誠にありがとうございました。そして,本論文にご協力いただきました常葉リハビリテーション病院の患者様,スタッフの皆様,理学療法開発学関係者の皆様に感謝申し上げます。
今後も臨床の第一線で求められるような,そして患者様に還元できるような研究であることを目標に,日々の疑問についての探求継続を実行していきたいと考えております。
修了生 常葉リハビリテーション病院 栗田泰成