2012年5月24日木曜日

修了生の声・特別編 [バトン] (儀間)

今回は,郡山健康科学専門学校の儀間裕貴先生にご寄稿いただきました。

理学療法開発学blogをご覧の皆さま,はじめまして。郡山健康科学専門学校の儀間と申します。前回の重森さんから“バトン”を受け,記事を投稿させていただきます。
学会発表
私は「新生児・乳児における自発運動および行動の客観的評価に関する研究」をテーマに,今年の3月に信州大学大学院総合工学系研究科で博士号(学術)を取得しました。博士後期課程に取り組むにあたり,理学療法開発学の大城教授には研究デザインからデータ解析手法,学会発表,論文作成まで本当に多くのご指導とご鞭撻を賜りました。また,理学療法開発学のメンバーの皆さまとは,多くの有意義な情報交換を行わせていただきました。この場をおかりして,深く御礼を申し上げます。現在は,脳障害を有するお子様の加速度データ集積に取り組んでおり,これを大学院課程で得た正常発達児における知見と比較することで,発達障害リスクの早期発見と発達障害児への早期介入へとつなげていきたいと考えております。
下肢自発運動の計測風景
学位授与式
前回の記事にて,重森さんが博士号の取得を“スタートライン”であると表現しています。正にその通りだと思います。博士号を取得したということは,何かを成しえたわけではなく,ひとりの研究者としての責任を背負ったということだと感じています。その責任とは,これまで積み上げられてきた知見に新しい知見を少しでも多く上積みし,次へとつないでいくことだと思います。そういった意味で研究活動は“リレー競技”であり,博士号の取得は“バトン”の受け取りであると表現できると思います。受け取ったバトンは,自分の手の中で色や形を変え,オリジナルのものとなっていきます。そのバトンを次の走者に渡すまでが研究活動であり,それが研究者としての役割だと思います。とは言っても,まだまだそんなに先のことを考える余裕が私にあるわけもなく,当然,渡せるようなバトンもまだ持ち合わせていません。今はただがむしゃらに走って,オリジナルのバトンを創りたいですね。この競技はきっと“ゴールのない400mハードルリレー”みたいなものです。私の場合,そんなにスピードも出せず,転んでばかりだと思いますが,バトンを落とさずに,周りの景色を楽しみながら走れるような心の余裕だけは持ちたいと思っています。走ることが社会貢献につながるのであれば,こんなに嬉しくて,こんなにやりがいを感じる仕事はないと思います。しっかりと走っていきたいですね。多くの仲間と。
 郡山健康科学専門学校 儀間裕貴

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